夜尿症 (おねしょ)について

夜尿症・おねしょとは、下記にあるような要因がいくつも重なって起きることが一般的です。
●夜間作られる尿と、ためる膀胱の容量のバランスがうまくとれていない
●膀胱の睡眠中の働きが未熟（容量が小さいことや勝手に収縮してしまうなど）
●睡眠障害（夜間起きてしまう）
●心理的ストレスがある
●膀胱や腎臓に、器質的な異常がある

おねしょ・夜尿症の多くは成長とともに、自然に治っていくことが多いでしょう。また、身体に夜尿が悪影響を及ぼす可能性は低いと思われているため放置されることが多い病気です。
しかしながら、夜尿が小学生になっても継続的にある場合、お子さまがそのことで自信を喪失し、精神的育成やQOL（生活の質）、すなわち心理面・社会面に様々な負の影響を及ぼすことがあります。
例えば、小学校の修学旅行（外泊）・幼稚園のお泊り保育の際なども、【おねしょ・夜尿をしてしまうのではないか・・・】という心配で、「行きたくない・・・」「友達に笑われる・・・」などの不安が出てきてしまいます。
このような不安＝ストレスとなり、それがさらに夜尿の消失時期を遅らせる要因になることもあります。
お子さまの健全な成長のためにもなるべく早急に治療する方が良いでしょう。

「夜尿症」の治療とは、まず小児科医の指導のもとで生活改善を行い、それでも治らない場合にはお薬やその他の方法で治療を行っていきます。先述しましたように、「夜尿症」は体に悪影響がない分多くのお子さまが治療をしないで様子を見るご家庭が多い症状です。
しかしながら積極的に治療に取り組むことで、自然に治るのを待つより早く夜尿症の悩みや問題から解放されています。

治療には以下の薬剤を単独で使用する、もしくはいくつかの薬を組み合わせて使用することがあります。薬の使用する量や使用する期間は年齢や症状によって異なります。

□抗利尿ホルモン薬（内服薬、もしくは点鼻薬）
【効果】尿の濃度を濃くし、尿量を少なくする作用を持つ薬剤。
□抗コリン薬（内服薬）
【効果】膀胱に尿を多く溜めれるように、膀胱機能を安定させる薬剤。
□三環系抗うつ薬（内服薬）
【効果】抗利尿ホルモンの分泌を促す作用と抗コリン作用がある薬剤。もともとはうつ的な状態を明るくしてくれる薬剤でもあります。
□漢方薬

パンツ自体に水分を感知するセンサーを取り付けておき、夜尿の水分をセンサーが感知しアラームが鳴るようにしておきます。そのアラーム音が寝ている間の排尿抑制訓練となり、排尿を抑えることで、徐々に睡眠中の膀胱容量を大きくしていく治療法です。

半年（6か月）から1年程治まっていた夜尿が再発したり、夜尿が起きる原因がストレスなっている可能性が高い場合に行います。

泌尿器に何かしらの疾患がある場合には手術治療が行われることもあります。

寝ている間にお子さんの意思とは無関係に生じるのが「夜尿」です。そのため“夜尿をしたお子さんを叱る”ということをしても、“おねしょ・夜尿症の改善には繋がりません”。
また、お子さんを無理やり起こして排尿させる行為は、お子さんの睡眠リズムを崩す原因となるので避けた方がいいでしょう。
繰り返しますが、夜尿（おねしょ）をしたからといってお子さんを怒ったり、無理強いすることは逆効果です。
お子さんには「夜尿は必ず治る」と伝えて安心させながら、夜尿がなかった日は褒めてあげるようにしましょう。夜尿（おねしょ）に対する不安や心配を持っているお子さんを親御さん・ご家族全員がサポートしていることを感じさせ、自分で治そうというやる気を起こさせることが大切です。